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行きつけの鼻緒屋の若女将に、この鼻緒を作っている人が誰かを聞くが、当然教えてくれない。

だけど一つだけ教えてくれたことがある。

・・・鼻緒職人さんはご病気だということ・・・。

なにかできることはないか、と思いついたのがお守りだった。

地元のお寺で買ったお守りに

「日本一」

と書き、それを鼻緒職人さんに渡してくれるよう、若女将に託した。



それから数か月後、若女将から、その日本一の鼻緒職人さんが亡くなったと聞かされた。

そこでやっと名前を教えてくれた。

そのひとの名は金治。

電話帳で調べると、・・・あった。

早速、弔いの電話を入れる。

「もしもし、塾長と言う者ですが、この度はご愁傷様です。
生前は花緒職人さんだったそうで、自分は金治さんのファンでした。
よければ是非、金治さんのお話を聞かせて頂きたいのですが・・・」

すると、


「もう花緒は作ってないし、やめてください!うちにきてもなんにもありませんから!」


困った。そこで、ふと口をついた言葉が、


「あの・・・以前、お守りを差し上げた者です・・・」


すると態度は一変して、


「えっ!?ああ!大変申し訳ございませんでした!生前、主人はお守りをもらって大変喜んでいました!
そのお守りをくれた人ですね!?是非、家にいらっしゃってください!」


ご存知のように職人と消費者に接点はない。

直接、お客さんの声を聞くことはできない。

どんなに良い花緒を作ってもだ。


そこに、お守りに日本一の文字。


金治さんは大変喜んでくれたそうで、

「そうだよ!俺の花緒が日本一って分ってくれる人がいるんだよ!」

とおっしゃっていたそうだ。

そのお守りは、お棺と一緒にいれたという。

自分もまた思いが伝わって嬉しかった。



その様なことから、日本一の花緒師のお宅にお邪魔することができた。
そこで色々なお話を聞けた。

「男仕立ては親指の爪でつけるの。だから爪は長かったわよ」
「始めたときは爪が痛くてねぇ、職人仲間に聞いて、塩湯に指を浸けてたわ」
「これが返しに使う道具」
「返しはこうやって一気にするの」
「滑りが悪い時は、これを使って」
「あ、これは履き合わせって言ってこうやると柄がつながるの。ほら。」
「これが主人が作った花緒」
「この部屋で花緒を作ってたのよ」




非常に貴重な体験であった。



帰るとき、形見に彫刻刀を頂いた。




その、二振りの彫刻刀を使い、今は自分が花緒を作っている。






金治さんの魂は、確かに、そして脈々と受け継がれている。








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雪駄塾 塾長

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