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日々、雪踏師として修練を積んでいる塾長です。
手縫いで一番難しいのは革の裁ちですが、
回を重ねるごとに革の裁ちがうまくなってきてます。
なんでも雪踏師は全国に両手の指ほどもいないとか・・・。


今回は、そんな革の裁ち、台の目利き(鼻緒がすがってない状態=台)
について書いてみました。

ではお写真をどうぞ。

↓籐の表と裏革の端(チリ)がピタリと一致している上手な革の裁ちの図。面一(つらいち)と言う。


左:上手な革の裁ち。    右:下手な革の裁ち。籐の表と裏革に段差ができている。


↓かかとの部分。こちらも上手な革の裁ちでピタリと端(チリ)が一致している。
革自体にも革包丁で裁った跡が残るのだが、ベタ張りみたいな一枚革のみだと
修練を積めば一発で裁てる(革包丁の跡がつかない=革自体に微妙な段差ができない)。


↓コバ部分。写真ではわかりづらいが、きちんとロウ引きされている。これは
融かした蝋を革に浸み込ませ耐水性と艶を出すため。


↓籐表の台の上手な後穴のあけ方。革芯の後穴と、籐表の後穴が一致している。


↓一方、籐表の下手な台の後穴のあけ方。革芯の後穴と、籐表の後穴がずれていて鼻緒が籐表まで
食い込んでいる。挿げ職人さんも難儀した。


↓上手な裁ちの雪駄。手っ取り早いのは裏革側からみるとわかりやすい。
まったく籐の表が裏革からはみでいない。
裁ちが甘いと、大抵、裏革が小さくなり、表がはみ出す。チリが合わない。


↓上手な革の裁ち。表とコバ(裏革)の端(チリ)がピタリと一致。面一!


↓上手な革の裁ちの爪先部分。一発で裁ったのか革自体にも段差がない。



切り廻し

まずは、下手な例。写真をどうぞ。

切り廻しの下手な例で、Rがギザギザになっている。

なぜ、こうなってしまうかと言うと、切れない革包丁で革に対して刃が直角に入っているからです。

ドブ(溝=切り廻し)を掘る時、刃をちょっとだけ斜めに入れればギザギザは出にくくなる。
そして、良く切れる、良く砥いだ革包丁で、かつ斜め刃がRを切る時には簡単。

但し、普通の革包丁一本で切り廻しから裁ちまで全部やるのが本筋です。

基本的には手の動きを止めないで、一発でRを切り廻す。
手が止まった瞬間R部にギザギザが入りやすくなります。


お次も下手な例。
切り廻しの下手な例で、Rがギザギザで、更に外周と切り廻しの間隔が一定ではない。


凄く下手なのがこちら↓

↑切り廻しが、コバ(革底の外側)まで行ってしまい、かつ斜めに革包丁を入れ過ぎたので
 履いてると、革がめくれ上がってきている。

切り廻しの上手い例。Rにギザギザが無く、切り廻しも等間隔だ!

この切り廻しの幅位が筆者は一番好きだ。
何より、細過ぎず、太過ぎず、一番存在感がある太さだと思う。

江戸の刺青の柄が大きいのと同じで、神輿を担いでいるときによく映え、
踊っているように見えるのと同じ。

かなり上手いのがコレ↓切り廻しの幅が狭い!細い!等間隔!

昔の雪踏師はこのレベルがゴロゴロいた。
やはりテクニック的には、この切り廻しの幅が狭い方が上だ。
でも、線が細すぎて、確かに上手いけど、筆者の好みだと、「存在感」が無い。

やはり、雪駄は存在感だと思う。

雪駄を見るとき、こんなポイントに目を向けると面白いかも知れませんね。


コバ蝋の上手い下手!

写真をどうぞ。

コバ蝋ひきの下手な例。

写真上段のコバは、熱ゴテを熱し過ぎてしまい革が焦げて表面がザラついてしまっている下手な例。
適正温度を超えた熱ゴテをコバにあてると、コバと熱ゴテが
引っかかってしまい滑りが悪い。明らかに焦げ付きの状態である。

写真下段は、コバ蝋が溶ける温度で熱ゴテを熱していて、革も焦げないで表面が滑らかで上手い例。
これをさらに、布を使い磨き上げ、平滑に仕上げ艶も出す。
サンドペーパーなどでコバを研磨して仕上げる「鏡面加工」にコバ蝋の塗りだけで肉薄する。

適正温度なので、コバ蝋は溶けるが、革は焦げない。コバ蝋を引いている時の滑りもよく、
コバ蝋もちゃんと革に染み込む(溶け込む)。

一般的な雪駄は、黒の染色のみか、蝋が引いてあっても透明系のコバ蝋なので黒のチャコ(コバに色を付ける呼び名)でも上から白(透明系)のコバ蝋を塗るため乾くと白っぽくなる。これは黒いコバ蝋を熱コテを使って引く方が難しいく失敗する確率が高い。なのでチャコをさーっと塗った後、はみ出ても大丈夫な透明系のコバ蝋を使うと言う訳です。

仮にコバ蝋を塗っていても塗りっぱなしのものが多く、コバ蝋がたれまくっていたりして
平滑に仕上げていないのがほとんどだ。


コバ蝋ひきの上手い下手。

上段のものはコバ蝋がはみ出てしまっている下手な例。

下段のものはきっちりギリギリまでコバ蝋が引かれている上手い例。

熱ゴテを削り、革底のコバよりも若干熱ゴテの方の厚みを薄くすると、綺麗にコバ蝋が引ける。
あとは角度を付けてコバ蝋をひくとギリギリまで塗れる。


↑コバ蝋の艶が良くわかる写真。みずみずしい艶だ!
 こげ茶のコバ蝋を使っている。
 もちろん、最後に布で磨きをかけている。

そしてこれが上手いコバ蝋の塗り方!

筆者製作の雪駄で「決まった!」と思った!
爪先からかかとまで、平滑に、かつ蝋のテカリも良く、一切表にはみ出ていない。



はい、と言う訳で、



革の裁ちの上手い下手です!



写真をどうぞ!

上段のものは、表の角をほんの微妙に革包丁で裁ってしまった下手な例。

下段のものは、革底だけ綺麗に裁った上手い例。

本当に細かい所ですが、雪踏師ならではの視点。
最高を目指す。



ども(^^)



表の手縫いの上手い下手


写真をどうぞ!

右は上手い手縫いの例で、地長表。
手縫い針を、革底から表まで貫き通すが、針の跡が極僅かしか残っていない。

表の乱れが極僅かだ。

これは細い針を使い、編み目と編み目の隙間を狙って打つからで(針を打つ角度もある。)
雪踏師の中でも「南部師」と呼ばれる一等上手い職人(雪踏師)さんの作り。
指チャンチキと呼ばれる、指にはめる当て金で、指の力だけで針を押す。

左は、下手な手縫いの例で、改良南部表。
太い針を使い、編み目と編み目の隙間も外していて、かつ角度も決まっていない。
雪踏師歴1年未満だった頃の筆者製作の雪駄。

よく見ると、糸が見えている。

下手な手縫いの例。

改良南部表で、竹皮の質にも針跡が残るかどうかは左右される。
地長表は竹皮に粘りがあり、肉持ちも良く針跡が残りにくいが、写真のこのデッドストック物の
改良南部表はいくら国産の竹皮といえども、粘りは地長表に比べると落ちる。

目消しゴテを使っても、ここまで跡が残ると、消せない。


上段:下手 下段:上手

上のものは下手な例で、かかとに大きく針を打った跡が残る。改良南部表。

下のものは上手い例で、本当に針の跡は極僅かだ!地長表。

どもども、表の上手い下手でした。


重ねの上手い下手


写真をどうぞ。

右:下手な例。表が重ねに対して御神楽みたいに出っ張ってしまっている。通称「御神楽」(おかぐら)。

( ´,_ゝ`) ぷっ。である。

左:上手い例。表と重ねのチリ(位置)がピッタリと一致している。
   重ね(総称)は草芯で、後ろ二枚だから、後二(アトニ)と呼ぶ。
   一番上の表は、重ねの枚数に入れない。


こちらも下手な例で、表が出っ張ってしまっている。

おまけ。

↑デッドストック物の表を買うと、こんな裏書きをされたものもある。
「最も、充分な心ある方へ」って書いてあるのかな?
 それは俺だ。

他には筆で太く達筆で書かれていたものも見た事がある。



表のラインの上手い下手!

です!

写真をどうぞ!

右は下手な例で、オレンジ色で示したラインが歪んでしまっている。

左は上手い例で、オレンジ色で示したラインは真っ直ぐだ。

これは、手縫いの糸を芯縄に架けて縫うのですが、そもそも竹皮が薄いとか、芯縄が細いとか、引っ張るときの力加減が均一でなかったり強すぎるのもダメ。

表の中に芯縄が8の字状に走っているが芯縄がモロモロと切れてしまうものもある。
ちょっと強く手縫い糸を引っ張っただけで、プツンと芯縄が切れてしまうこともある。

昔の表なんかだと芯縄がしっかりしているので、ちょっとくらいの力加減の差ではラインは歪まない。

こう言ったラインの歪みは、目消しゴテ熱を加えて外側のラインを慣らして真っ直ぐにする。


2014.6.21記

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