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雪駄のかかと、重ねについての考察です。

百聞は一見にしかずなので、まずは画像をご覧あれ。

左:革芯   真中:革芯   右:後二

(※革芯については後述)

重ね=かさね(草芯、畳芯)
竹皮製の重ねが、畳表と裏革の間に入っている。
なぜ草芯(くさじん)と呼ぶかは、竹皮は草と表現するから。棕櫚も草。竹皮(筍の皮)や棕櫚の葉は草物と呼ばれ、それらで出来た重ね(芯)は草芯とも呼ばれる。

また、共芯と言う言葉があるが、これは竹皮で編まれた表と竹皮の重ねなら同じ=共なので共芯(ともじん、ともしん)と呼ぶ。表と違う素材の芯は共芯とは呼ばない。

この重ねが、つま先まで通っていないで土踏まずあたりで終わっている状態で入っていて
二枚なら、後二枚(後二、アトニ)と呼び、一枚なら後一枚(後一、アトイチ)だ。

後一
IMG_2743 - コピー
後二枚と数えがちだけど、隙間の芯のみ数えるので後一枚。後一。

後二
IMG_0341 - コピー (2)
↑後三枚と数えがちだが、表は重ねに数えないのだ。よって後二。重ねの枚数が多いから「良い雪駄」ということは無いが、手間はかかるし、コストもかかる。  

重ねの呼び方の他に、重ね芯(カサネジン、kasane-jin)芯(シン、sin)、と呼ぶ。

重ねは、上記の呼び名の総称である。

重ねっているから、重ね。

もちろん、先端まで通っている芯も重ねになる。

雪駄だけでなく、草履も芯が入っていれば重ねと表現する。

◇柄芯の重ね(2015.10.13)
柄芯
上の写真は、柄が入った草芯の重ねで、「柄芯」と呼ばれる、非常に珍しい重ね。
40年以上前はこんなのもあったのだ!

◇正装時の雪駄の作り。

重ねの枚数が多く高いのはやはり見栄えも格式高いイメージなので正装用になる。

日本の正装履物は雪駄で、正装用の雪駄の形は一の三と言う作りの物でこちら。

写真:加部商店の先代(三代目)社長加部さんの手。


一の三の正装(礼装)用。筆者製作でご住職様からの製作依頼。



◇なぜ、一の三が正装用の雪駄のスタイルなのか?


明確なこれだ!と言う定義は無い。

ただ、江戸時代よりはるか昔からある草履もやはり重ねが多い方が格式高い。料理人のシェフの帽子が位が高くなるにつれ高くなるのと同じ意味合い。やはり威厳がある。

そのながれで雪踏(雪駄)も背の高い、重ねが多い方が格が高いイメージだが、あまりに高いと雪駄のイメージ自体と変わってくる。

◇重ねの枚数による、「縁起」

爪先まで通った前一枚、後三枚が奇数で割れなく、縁起良く、草履みたいに背が高すぎず、しかし高さもあり格も有る様に見える。

そういう所から一の三雪駄が正装用雪駄のスタイルになったと言うのが履物界隈の専らの見方である。



革芯

後二雪駄のかかと部分


革芯


革芯


おや!?かかとに重ねが入ってないじゃないか!
と、お思いの方も多いと思うが、これが


革芯(カワジン=kawajin)と呼ばれる雪駄です。
この革芯、昭和に入ってから誕生した、粋と耐久性(実用性)を両立させた雪駄の作です。
パッと見、粋なベタバリに見えるけど耐久性も追求したいと、革芯ができたみたいです。
関西に多い仕様です。

革の芯なのでとても丈夫。正直な所、かかと革を交換し忘れて擦り減っても革芯がある意味かかとの役割を果たします。

この革芯は、粋と耐久性を求めた作りのため礼装用には不向きです。



本稿一枚目の写真の中の左二つの地長表で革芯となると入手困難。
基本的に、あまり良くない表の雪駄を革芯にするし、さらに地長表を作れる製造所が数えるほどしかなく、年間10足も作られなかったのでこの革芯と地長表の組み合わせの雪駄はとても珍しい。ちなみに、地長表の年間10足と言う製作数は1995年より前の話で、履物屋のご主人連中は


「今はもう無いよ」


と、口を揃えて言う。

一枚目写真の左の雪駄は75000円の革芯地長表雪駄で15年前のもの。1995年。(2005.6.24現在)
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