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(2005年5月記)これが、聞きしに勝る伝説のベタガネ。

15年前の浅草・辻屋の大将の提供!

それでは、とくと御覧あれ。




大将の御手


今は無き伝説のベタガネ。
雪踏師の間では雪駄金(セッタガネ)とも言う。

正式名称は尻金(シリガネ)。
他には、後金(アトガネ)、裏音金(ウラオトガネ)、踏金(フミガネ)、裏金(ウラガネ)、板金(イタガネ)とも呼ばれる。
※尻金はかかとの鉄の金具の総称なので、テクタや三日月、馬蹄もこれに含まれる。

このベタガネは雪駄の製作段階で裏革に切り込みを入れ、ベタガネの爪を差し、内側で爪を折り金槌で
叩いて圧着して固定する。
ベタガネの取り付け画像↓2011.07.18画像追加


2005年、地長表の良い雪駄を探していたら、辻屋の大将が

「こんなのもあるよ。」

と、突然見せてくれたのだ。

革芯なら、どうしてもこれじゃなきゃ嫌だ!
というお客さんの為にとってあるのだそうだ。
実はこのベタガネ、齢60を迎えた大将もつい最近知ったらしい。
非常に珍しい雪駄を見せていただき、本当に感謝。

2020.3.28秘話掲載

これを大将に見せられた時、

すげぇ!

と魂消た!

このベタガネに一瞬で心を奪われた塾長だった。
すみませんでした。書くのが遅れて、、、。

2020.3.28追記

・・・感謝だけして何も買わないで店を出る。

続いて二軒目の角っこにある富士屋(浅草)へ。

ここで、先ほど拝見したベタガネ雪駄の話で盛り上がる。
お店のご主人の記憶によると、なんでも戦前~戦後初期までは結構あったのだが、
歩くと音が五月蝿すぎるのと、あまりにも滑りやすいと言う理由で、だんだんと廃れていき、
今では殆どお目にかかる事はできない。

昭和30年頃には影も形も無かったと言う。

このベタガネ雪駄、なんと18金で作られたものもあったと言う。
そして象嵌彫りのベタガネもあったという。
※江戸時代。
籠に乗るとき、雪駄を脱いで籠の表に吊るしておく。
籠の揺れと共に雪駄もチャラチャラと動く。

その刹那、18金のベタガネがキラキラと異彩な輝きを放って躍る!

そして、向かうは吉原遊郭。
お金持ちの遊び方だと、ご主人はにやけつつ語ってくれた。
通称「お大尽遊び」らしい。

2020.4.3
ちなみにこの富士屋の女将さんに「芸人さんですか?」と間違われたのであった。
非常に名誉なことだと思っているー。
2020.4.3

その他には侠客(KYOUKAKU)も好んでこれを履いていたと言う。

※侠客(KYOUKAKU)とヤクザ(YAKUZA)は微妙に意味合いが違う。
※江戸時代の侠客からの流れで昭和二十年代までは、それこそヤクザがベタガネ雪駄を履いていた。


2013.11.24加筆&画像追加
このベタガネ、江戸時代発祥だが、鍛冶屋で一枚一枚手作りだったと推察する。
広島のはきもの博物館で見せてもらった、江戸時代のベタガネは表面が
トンカチで叩いたような跡が残っていて一つ一つ形が違うからです。
俗に言う「ハンマーヘッド」。

江戸時代末期の雪駄。裏革はドブ(切り込み)が切り廻してあるので江戸の雪踏。
江戸時代の雪駄のベタガネ(尻鉄)

接写。
江戸時代の雪駄のベタガネ(尻鉄)2
表面が金槌で叩いたように凹凸しているのがお分かり頂けると思う。
この江戸末期の雪駄は江戸のもので、なぜなら切り廻しで縫ってあって、雪駄の表の幅が広く、尻鉄が小さいからである。
一方、京阪の雪駄は幅が狭く、尻鉄(ベタガネ)は大きかった。

「切り廻し」を発案したのは江戸の雪踏師なのだが、江戸末期ともなると、京阪でも
切り廻しになっている。
※江戸に上手なる雪踏師が現れて、江戸時代の江戸の貞享の末頃(1685年)に案出された(参考文献:我衣)

ちなみに、17世紀のヨーロッパの靴の革底も切り廻しになっている。

う~~ん、非常に神秘的だ。

そして、このベタガネ、天保府命前には裏鉄を赤銅でつくり、金象嵌を入れたものもあると言い、
権家へ賄賂などに送るものでもあったようだ。参考文献:守貞謾稿

また、参考文献:はきもの変遷史の浮世の有様の項目に

雪駄の表を籐組にし、廻りを赤銅にて縁を取り(籐表の装飾部分の記述)

裏面には真鍮にて牡丹、龍などの象嵌(象眼)を入れ、(ベタガネの記述)
舟行のとき雪駄を仰のけにして、象嵌の美麗をほこる(誇る)やうにせる(競る)あり。

との記述がある。

この真鍮の牡丹や龍などの象嵌の入ったベタガネは江戸時代、文化・文政の奢侈(シャシ=贅沢なこと)が爛熟期の頃。

半端ではない。

↑2013.11.24加筆&画像追加]

↓2014.1.16写真&画像

そしてこれが、江戸時代の象嵌ベタガネを私なりにイメージした雪駄塾製のベタガネです。

IMG_1590 - コピー

三日月部分は鋼鉄製で地金と0.5mmの隙間を設け音の響きを良くした。歩いていると時おり火花が散る。透かし彫の小桜の奥に漆の黒赤、その上に散りばめられた螺鈿が七色に煌めく。このベタガネを験担ぎも込め、切火金と名付けた。

構造、大きさ、鋼の種類、鋼の硬度など試行錯誤を繰り返し、雪駄ちゃらちゃらと言う「音」を追求したモデルのベタガネで、筆者が今までに見たこと(聞いたこと)あるベタガネの中でも一番の物にしました。

ちゃらちゃらと言う音に誰もが振り向く。

※ガソリンスタンド等の火気厳禁の場所では絶対にお履きにならないで下さい。また、大変滑りやすいため、もしお怪我をされても当方では一切の責任を負いかねます。



2015.10.12
雪駄塾謹製 江戸時代復刻版のベタガネ 左:真鍮製 右:鉄製


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雪駄塾 塾長

Author:雪駄塾 塾長
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