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押忍!!
今回は雪踏師(手縫い職人)さんが使う道具をクローズアップしてみました。
お風邪をひいていたにも関わらず筆者に快く雪踏師(手縫い)の手さばきを披露して下さいました。
本当に有り難う御座いますm(_ _)m

  左:溝切り   真中:当て金   右:手縫い針


裏革に溝切りで溝を作っている所↓

裏革に革包丁で切り込みを全周にいれるが(切り廻し)、
その前に左の溝切りで溝を切っておく。
そうすると跡がつくのでそこを革包丁で切り込んでいけばよい。
ちなみにこの溝切り、職人さんがプレゼントしてくれました!
(この職人さんのお手製。本当に有り難う御座います!)。
2013.7.25加筆&画像追加↓
この切り廻しの溝を切ることを「けんびき」と言う。他には「ケンガケ」「ミゾキリ」とも。
語源の由来は、「ケビキ」からきているのかな?
この「けんびき」をするための道具は、基本的に自前のお手製になる。

その写真↓樫の木で作られたもの。釘が打ってある。この釘の先端で溝の跡を付ける。

2013.7.25加筆&画像追加↑

切り廻しの最中で切り込みを全周に渡り入れているところ。↓

切り込みを入れる深さは革の半分くらいまで。
縫い糸が地面と接しないように埋め込んでおくために。
筆者は、今回取材した手縫い職人さんに手縫いの技を伝授して頂いたが(涙が出るほど感謝してます!!)、
この革の半分くらいで切り込みを入れるのが非常に難しい。
ちょっと力を入れると革がスパッと全部切れてしまうし、
かといって力を抜いても切り込みが浅くなってしまう。
やはり熟練の卓越した技がおりなす絶妙な力加減が物を言う。
手先が器用なのが自慢の筆者でさえも滅茶苦茶難しい。


↑切り廻しの画像。黒いチャコの手前に切り込みがあるのがお分かり頂けると思う。
ちなみにこの切り込みの事を職人さんの間では「ドブ」と言う。
かかとの部分は尻金(馬蹄タイプ)と尻革があるのでかぶさっていて切り込みは見えない。
しかし、それを外すと切り込みは見える。


そして真中の当て金(通称:「チャンチキ」)で針を押す。
切り込みに針を通すが、革が硬い為非常に力がいる。
革芯となると、手縫いの中でも一番難しい。なぜなら革が2~3枚に重なっているからだ。
針がしなるほど強く当て金を使い押し込んでいく。
ちなみにこの当て金もう製造されていない。手に入らない貴重な逸品。
真中の画像の中に当て金が二個あるが、右の当て金はおじいちゃんの形見。
この当て金、3ッつあり、一個余っていたのでこの職人さんが筆者にプレゼントしてくれた。
本当に有り難い。なにせこれがなければ何も出来ないからだ。

で、この当て金=チャンチキ、二種類あって、もう一種類はこれ。

これに自分の手に合うように、革を当て手にフィットさせる。
2020.3.28追加
このチャンチキ、指の先端にはめて針を押す小さい直径10mm程度のものもあった。主に南部師と呼ばれる、雪踏師の中でも
本南部表や地長表を縫う特段上手な人で、編み込みの隙間にゆっくりと正確に針を、グ~~っと打ち込む為みたいだ。
現物を探していただいているが5年位経っても「どっかいっちゃったヨ」と返されるので本当に紛失されたのかもしれない。
2020..3.28追加

お次は、右の手縫い針。
これももう作っていない貴重な職人の道具。異常に太いのがお分かり頂けるかと思う。
長さは2寸3分がちょうどよく、長すぎると裏革と手の当て金に距離が出てしまうため押しづらい。
筆者は畳用の針を購入して手縫いをしてみたが、これが長すぎる。
やはりこの極太の2寸3分の手縫い針が一番使いやすい。
しかしどこを探してもない。この2寸3分の針も一本頂いたが、手縫いをしていて折れてしまった・・・。
不覚。やはり職人さんの言う通り、2寸3分の長さの針は非常に使いやすかったのが畳用の針と比較して分かった。
2020.3.28追加
雪踏師(南部師)は昔は1の3までの雪駄作りだった為、針は二寸針で二寸五分針はまず無かった。
30年以上前は1の3の雪駄でも「厚物」と呼ばれていた。
2020.3.28追加

ちなみに手縫いに使われる糸は6本よりの糸。蝋引きされている為、非常に滑りが良い。
使う糸の長さは一尋(ヒトヒロ)と言って両手の長さ位。当初、一広と記述したが間違いで正しくは「一尋」。

人差し指:指抜き  小指:当て革
指ぬき
この人差し指の指抜きで針を抜く。
この指の根元まで来ている指ぬきも、どこを探しても無い(これも頂きました。本当に有り難う御座います!)。
針の引っ掛かりが非常に良く、すぐ針が抜けてくれる。
ゴム手袋を買ってきて指の根元から切って使ってみたが、全然針が引っかかってくれない。
このハナキ製(指ぬきのメーカー)の指ぬき、どっか作ってくれないかなぁ・・・。
あと2寸3分の極太の針も・・・。

で、小指の当て革ですが、この小指の当て革を使って、縫った糸を力強く引っ張る。
ちなみにこの当て革、職人さんのお手製。

針、当て金、指抜き、当て革が四種の神器。

他にも、前述した溝切りや後述する革包丁もある。

で、これが革包丁。こんなに種類がある。

この革包丁を使って溝を切ったり、雪駄表に合わせて裏革を切っていく。
材料の段階では、雪駄表より裏革の方が大きい。

そして、差し込み包丁。基本的に草履の製作に使う道具。2013.10.24加筆&画像追加



↑刃はついていません。

某商店様から、若いのに頑張ってるねと、二本頂きました。

「やるよ」と。

本当に有り難う御座います!

で、これは、草履などの芯の巻きの部分に革を巻くのですがそれを巻き込ませるために
ある道具。そして、修理の際、重ねを剥がしたりもします。また、接着剤をこの差し込み包丁につけて、重ねや、巻きをくっつけ、乾いてきたら抜くという使い方もあります。

ちなみに、錆が酷かったのですが、砥石で磨きました。
さらに、この差し込み包丁を草履職人さんにみせると、角が取れていないから
革に傷がつくとのご指摘を受け、面取りを行いました。

角が滑らかなRになっております。

次はハサミ。



芳太郎と言う名が刻まれていますが、このハサミ、研ぎ師に言わせると、
百本に一本あるかどうかの 非常に出来のいいハサミだそうです。

どこが違うのか分かりませんが。。。
(依頼した人が聞かなかったそうです。)

研ぎのお店があるのですが、そこの店主のおじいちゃんが言っていたそうです。

この研ぎ師、めちゃんこ研ぎが上手いらしく40年研ぎをやってきた人でさえ、
そこのおじいちゃんが砥いだ方がもっとよく切れるそうです。

このハサミで草履などの表革を裁つのです。
このハサミ、錆ひとつなく綺麗ですが、研ぎに出す前は
錆だらけだったそうです。2013.10.24加筆&画像追加

雪駄表と裏革の画像。

これを雪駄表に合わせて裏革を裁っていく。
これも筆者はやってみたが、非常に難しい。職人さんに言わせるとこの作業が一番難しいらしい。
綺麗に一発で全周を切るのだがどうにもこうにも爪先とかかとのRのある部分は革包丁が上手く進んでくれない。
一発で切れないと、革に段差がついてしまう。この段差も革包丁で削り面(ツラ)を合わせる。

ちなみに裏革の構造はこうなっている。(革芯仕様)

前壺の穴に座金が入り、後穴が開いていて、芯にボール紙が二枚、経木が二枚交互に入っている。
裏革と芯材は釘と接着剤でくっつけてある。

201.7.25加筆&画像追加
で、この雪駄に反りを入れるのだが、こんなデカい樫の木のものを使う。


これをつかい、接着剤などを圧着しつつ反りも出す。
201.7.25追加

2020.3.28追加
そしてこの万力(キリン)の間に反り板を入れて締め込んで圧着する。当然反り板の中には雪駄が入っている。
写真の右下は校長の御手。時計がキラリ。

なぜキリンと言うかは、取っ手をくるくる回して締めたり緩めるのだが、
緩めると取っ手につながっているねじがキリンの首みたいに長くなるからだ。写真でも少し長くなっているのがわかるかも。
2020.3.28追加

最後にチャコを塗っておしまい。
このチャコを塗った後、ちゃんと蝋を上から塗って防水性と艶を持たせる。
腕の良い職人さんでも下ごしらえがしてあって、
手縫いからはじめて、最終仕上げまでやって一日7足仕上げるのが限界。

↑画像は鏡面磨きを施した雪駄のコバ部分。


201.7.25加筆&画像追加
このコバ部分、昔のフェルト芯のものを例にとってみると、一発で裁たないと栽断面が
波打ってしまい、美観が悪い。一発で裁ってあるフェルト芯。


段差がなく、きれいな面をしている。

革なら一発で裁たなくても修正がきくが、フェルトは修正しても表面が毛羽だって(バサバサ)
して綺麗にならない。

ちなみにフェルト芯を裁つときは、幅広の革包丁を使う。
201.7.25加筆&画像追加

で、そしてこれが大本命!草物(竹皮表など)を手縫いすると、
どうしても一定の力加減で手縫い糸を引っ張っても、
糸が芯縄をへこませてしまうので、側面が波うつ。
その側面の波うちをきれいに真っ直ぐラインを出すために修正する道具がこれ。
単純に「コテ」と呼ぶ。


↑コテの写真。年代は最低でも60年以上前のコテ。
この他の使い方としては、手縫いの表についた針の跡を「目消し」する時にも使う。

筆者は、どうしても表の側面のラインが真っ直ぐでなくて困っていたとき、
雪踏師の師匠に聞いたら、「これを使うんだよ!」と言われ見せて頂いた。

(2014.11.2 その34から合体)
胃痛腹痛下痢発熱・・・

一週間も散々な目に合っている塾長です。。。

その名も「急性胃腸炎」

夏本番で、雪駄の注文が殺到しているこの時期に神様から、なんとも手痛い仕打ちである。

今や和装履物は夏がメイン。

少しでも早く欲しいお客様には本当に申し訳ない。

通常2週間かかる雪駄の製作期間も今は3週間ももらっている。

本当にすいませんm(_ _)m(ブログ更新している暇があったら早く作れ!)

と言う訳で、いささかパワーが無い状態ではありますが、

雪踏師の道具~その2~熱ゴテ~です。

↓これはコバに蝋(ろう)を溶かして擦り込むための道具で、熱ゴテ(電気ゴテ)と言う。







自分がかなりよく行く問屋の番頭さんから頂いた、雪踏師にはなくてはならない
道具で、基本的に特注品である。 (番頭さん、有り難う御座いますm(_ _)m)

頂いたときは錆が酷かったが、先端部分をサンドペーパーで磨いて
かつ鏡面コンパウンドでピカピカに仕上げた。
そして、ディスクグラインダーでコテ本体を削り、熱ゴテの柄に合うようにした。
穴の位置もずれていたので自分で穴をあけて調整ー。



コバに蝋を塗る事で、革(コバ)に艶を持たせ美観を良くし、かつ防水性も与える。



ここだけの話だが、このコバ蝋、熱ゴテの温度が高すぎると「焼けすぎ」と言い、
熱で蝋がざらざらしてしまう。艶が出るどころか革も焦げる。

焼き締めと言う技法がレザークラフトや革靴のコバ処理にあるが、それとはまた別で
あり、デフォルト(初期設定)だと、この熱ゴテ、焼けすぎてしまい全く使い物にならない。
コテの温度が上がりすぎて革が焦げて黒っぽくなってしまうため、筆者のスペシャルオーダーの
コバをどんな色にも染色可能の謳い文句が焦げの色で駄目になる。


そこで何かいい方法はないかと思い付いたのが、パワーコントローラー(ワット数制御装置)なるもの。


話が大分それてしまった・・・申し訳ない。
パワーコントローラー・・・これは電球などの明るさ(電力)を0%~100%の間で調節できるもので、
対応入力限界値は160W。この熱ゴテは80Wなので許容範囲だ。

早速このパワコンを購入し、熱ゴテにつけて使用してみると・・・

これが非常にいい塩梅で、蝋が溶ける最低の温度で設定できた。

熱で蝋を溶かすと言うことは液体になるわけで革の奥深くまでしみこむと言うこと。

だから熱ゴテが必要になるわけだ。

この設定温度は蝋の色の種類で溶け出す温度が若干違うが、試行錯誤の末
最適な温度(制御装置のメモリに)に合わせることができた。

サンドペーパーで鏡面磨きを施したコバを作ったことがあるが、それに近い
ものがいとも簡単に出来てしまう。

2014.6.13修正
とは言っても、鏡面仕上げには敵わないが。

いやいや、コバ蝋の引き方と、仕上げで鏡面仕上げに匹敵する。
以前の筆者は、まだそのテクニックが無かっただけで、今は腕がかなり上がったので
鏡面仕上げはよほどのことがない限りやらない。。。
コバ蝋を塗るのには理由があるからで、艶と「防水性」、そう防水性!
これが一番大事で、筆者は美観が良いだけの鏡面仕上げより、防水性を選択する。
実が伴っていなければ、やる意味がないのだ。最善か無かー。
2014.6.13修正

やはり、物理的にコテをあてるのでコテの筋が若干入る。

秘伝の極意は、黒のコバには黒のコバ蝋、こげ茶のコバにはこげ茶のコバ蝋がベストで、
それ以外のコバの色には無色のコバ蝋を用いる。
ただ、無色のコバ蝋は、折り曲げた時に白くひび割れる。
雪駄の前反り程度ならばそうはならないが。

薄い色でコバを染めたときは注意が必要で、いくら無色のコバ蝋と言っても
革にしみこむことで、色の変化が起きる。
だから、色々混ぜ合わせて作った
特注色のような繊細な色付け(コバの染色)には、
蝋は溶かさないで固形の状態でガシガシ 塗りつけるのがベスト。
下地の色に左右されないで表面にうっすらと、若干色味がくもるが蝋がのる。

ただコバ蝋を塗るだけでは表面に付着しているだけであるのだが
塗らないよりは艶も出るし、防水性も与えられるのでマシである。

もう一つ注意点がある。
それは黒いコバ蝋(濃い色のコバ蝋)を熱ゴテで使用した後で、
無色のコバ蝋を使用すると黒いコバ蝋が熱ゴテに残っていて、
それが溶け出して、無色のコバ蝋と混ざり合ってしまうという事。

だから欲を言えば熱ゴテは2~3本は欲しい。

しかし、この熱ゴテ、筆者が切望していたもので、初めて現物を見た時の驚きは
尋常ではなかった。

これでグンと雪踏師としてのレベルが上がったのは言うまでもない。

ちなみに、昔はワット数制御装置がないので濡れたタオルなんかで
コテをジュっとやって温度を低くして調節していた。

コバの仕上げには「熱ゴテ」、雪駄のクオリティも上がる。

ちなみに使い方はこう。↓

↑先端の突起をコバに合わせて滑らせる。力を入れてよく擦り込み、最後に軽くサーッと流して表面を整える。
 若干のデコボコなら、蝋でうめて平たんにすることもできる。


↑裏から見た図。



う~~ん、なんとも神秘的な、~雪踏師の世界~である。
(2014.11.2 その34から合体)

(2014.11.2 その36から合体)
天気の良い日が続いております。

まさに秋晴れ。

雪駄の季節は終わってしまいましたが、魁!!雪駄塾は秋でもフルスロットルです!

と言う訳で、今回も雪駄製作に使われる道具をクローズアップしてみました。


~雪駄師の道具~刃型

↓これは刃型ではないが、重ねをぴったりと合わせるために使う道具。

↑このように使う。

↓かかと革の刃型(抜き型)

↑これはかかとの革を抜くために使う刃型。とても分厚い鉄でできており
なぜこれほどまでに分厚いかと言うと、プレス機で何度も型を抜いていると
刃型が熱を持ってきてしまい鉄がゆがむし、手で持てない。
だから、熱にも負けないようにこれほどまでに分厚い。
職人さんによってこのかかとの刃型の形も違う。

↓手前の刃型が裏革の前坪を抜くためのもの。
こちらも形が様々で、
職人さんによって形が違い、
どこの職人さんが作った(手縫いした)雪駄かこの刃型の形でわかる。

↑この刃型、打ち頭がついているタイプで、トンカチで叩いて使う。
※東京の職人さんが使っていた。


↓三枚目の奥に写っている刃型。

↑草芯の後穴を開けるための刃型。
奥に写っている刃型は、草芯(重ね)の鼻緒を通すのと、鼻緒をしまう後穴を抜くためのもの。
今はプレス機で抜くのが主流な為、この打ち頭付のものは珍しい。
筆者の前坪の刃型も当初、プレス機を持っていなかったのでこの打ち頭がついていたが
プレス機を購入して、打ち頭をディスクグラインダーで削り取った。
ちなみに筆者所有のプレス機は12トンもの圧力がかかるもので手動式。
車用のベアリングなどを入れるためのプレス機を流用したもの。

↓このようにして使う。

↑写真はコルク芯を刃型で抜く図。

↓右寄りに五個ある刃型は、後穴の裏ふたを抜くための刃型。

↑こちらも打ち頭がついているタイプで、トンカチで叩いて使う。
筆者は一つの刃型で7寸7分~8寸5分までの雪駄の後穴の裏ふたを抜くが、
やはり、サイズ別に持っておきたい。
この号に載っている全ての刃型の年代は不明である(番頭さんが年月なんて考えたことないと仰っていた。)
さびているが砥げばいつでも使える。

はい。と言う訳で雪駄師の道具、刃型でした。

(2014.11.2 その36から合体)

魁!!雪駄塾~目次へ~



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雪駄塾 塾長

Author:雪駄塾 塾長
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phone:050-5435-1973

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