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こんばんは。雪駄塾塾長です。
今回は雪駄表の製造工程を特集してみました。

出典:近世はきもの風俗史「雪踏をめぐる人びと」/畑中敏之・著

雪駄表製造工程!

雪駄の良しあしを決めるのは材料である竹皮であり、品質の良い竹皮を手に入れられるかで
雪駄の品質が左右される。
現在は主に中国から輸入されていて、竹皮の品質は現地の気候に左右される。
竹が成長するときに雨が多ければ竹の生育がよく、品質の良い白い竹皮になる。
しかし、雨不足で日照りが続き気温が上がれば、斑点の入った竹皮になる。

その年の現地の天候に注意して、品質の良い竹皮が取れそうな年は、無理をしてでも多量に買い付ける。

品質が悪ければいくら漂泊しても白くはならないし、仕上がりが悪いと言う。

中国から輸入する前は、九州、四国、京都、長野などから買い付けていた。
日本産の竹皮は中国産と比べて強くて弾力があり、一枚一枚厚みがあるので
雪駄表にすると足にフィットする。

「雪駄」の製造工程

大まかに分けると雪駄表を作る工程、裏革を雪駄表に縫い付ける工程、鼻緒をすげる工程
に分けられる。

雪駄表の製造工程

1.竹皮の選別

竹皮は一枚一枚斑点や品質の微妙な違いを丁寧に見分けられる。その品質によって
上質の雪駄、普段履き、お茶席には無くてはならない数寄屋草履などの用途に選別される。

2.表を編む
よりをかけた芯縄を編み台にかけ、四列の芯縄に、幅1.5~1.8cmに裂いて湿らせた
竹皮を三つ折りにして、巻き付けるようにして編み込んでいく。
編み方は藁草履などの編み方とほぼ同じである。
三つ折りにされた竹皮はその厚みを活かして編まれ、厚さがある状態で仕上がる。

3.仕込み1
「編みっぱなし」の状態の表を雪駄表に近い状態にする作業を言う。

3-1.ケバ切り
雪駄表の裏面に出ている網目からはみ出している竹皮の端っこの「ケバ」を切る。

3-2.天日干し
表編みの時に竹皮が含んだ水分を除去する。

3-3.踵とめ(かかととめ
編み子さんたちは、男性用、女性用、子供用などの大まかな種類に分けて表を編む。
編みっぱなしの表とは、編み子さんが編み上げた状態(雪駄の正確な寸法まで決めないで編まれた状態)
の表を言う。
正確な寸法の表に仕上げるためにまず踵を決める。
高級品はかかと部分に補強するためにタボを入れる。
タボとは藁に和紙をまいたもので、その大きさは地方や雪駄屋によって異なる。
関東地方は大きい。

3-4.天日干し
踵とめをした部分の水分を十分に除去する。

3-5.水浸け
本仕上げに入る前に、竹皮に水分を含ませ、作業をしやすくする。

3-6.くせ直し
編み込さんによりその編み方にはくせがある。また、芯縄部分に工程があると次の工程でしわが出るので
「ヘリキリ」で裏面に切れ目を入れ、竹皮を伸ばす。

3-7.たたき(まねき)
二枚の表を中にして重ね、槌でたたいて繊維を柔らかくする。この作業は
同時に竹皮の繊維を鍛える(強くねばりが出るようにする)。
昔は手作業で一枚一枚たたいていた。根気と力のいる作業である。

現在は機械が使われている。
一見すると、和菓子屋で使われる餅つき機と似ている。
杵(きね)の重みを利用して表をたたく。
ここではm表に編まれた竹皮が荒々しい一本の繊維のような状態になる。

3-8.一番ローラー小判形になった「表」の編み目を整え、さらに薄くするためにローラーをかける。
台の上に表をのせ、鉄の棒に布を巻いた道具を転がしながら編み目を整えるのと同時に
表の厚さを整える。
この工程も昔は手作業だったが今は電動式ローラーを使っているので、力をかけずに
作業できる。

3-9.くせ直し2
竹皮が裏面で重なっている個所があると、製品の表面に凸凹が出たりする。
また編み子さんにとってくせが出て、編み目がきれいにそろわないことがある。
そのため裏面の竹皮の一部を包丁で切り、木製の道具(裏かき)を使って裏面を平らにする。

3-10.水抜きプレス
水板(樫製)に表をはさみ、十枚単位で油圧プレス機にかけて水分を絞り出す。

3-11.天日干し
プレスした生地を天日に干して、乾燥させる。晴天の日に二日間ほど干し、表に艶を出す。

4.仕込み2

4-1.二番ローラー
天日に干した表の乾燥具合を見て、一番ローラーと同じ方法でローラーをかける。

4-2.星抜き
表の仕上がりをよくするため、クジリ(グジリやキリとも言う)を使って表面に出ている
茶色の星(斑点)のついた竹皮を抜き取る。
※正確には茶色の斑点のことを「ふ」言う。

4-3.寸決め
芯縄を引き締め、用途(男性用、女性用、子供用など)に合わせて表の大きさを決める。

5.平仕上げ
5-1.三番ローラー
湿らせた表に手でローラーをかける。台木の上に表を置き、ローラーを手で転がして編み目を整えながら形を整える。
この時使われるローラーは、表に触れる個所には布を巻き、両端は手に馴染むように細くなっている。
そのローラーを手のひらで転がしながら表面と形を整える。
手に体重をかけての作業で、汗が額からこぼれ落ちる。

5-2.あくぬき
室(むろ)に一晩入れ、漂白する。

5-3.平仕上げプレス
表を平型に一枚ずついれ、五足単位で油圧プレスにかける。機械化するまでは「万力」を使って力をかけていた。
雪駄表の「命」とまで言われる「へそ」(編み終えた後のとめ跡。かかと部分にある)がつぶれないように
平型にくぼみがつけられている。

6.本整理

6-1.幅折り
表を蒸気の出ている釜の上に一枚ずつ置いて先端部を蒸した後、幅折り器に入れて仕上がりの寸法や幅に
整える。余分な竹皮は裏側に巻き込み、表をきれいにそろえる。大きさを整えるため、
表の仕上がりに影響が出ないように竹皮を間引いたり、芯縄を縮める。微妙な作業であるため
「熟練職人の勘と技術」が製品の出来栄えを左右する。
蒸すとき、蒸気が直接当たらないように間に布をかます。
一枚一枚、寸法を測りながら作業され、雪駄の見栄えに影響する先端のカーブは特に慎重に仕上げられる。

6-2.型決め
踵の部分を「踵決め器」で整える。「へそ」の仕上がりに注意を払いながら。
つま先の部分を台木に取り付けた「てこ」で整えた後、芯縄を2cmほど残して切り取り、
残った芯縄を裏側にたたいて貼り付ける。

6-3.型入れ
木製の整理型(ぶな、桜などの弾力がある堅い木。出来上がりに寸法を合わせてなめらかなカーブを描いている、くり抜かれた木型)に、
表を裏向きに入れ、温めた鉄板のついた経木版(圧し型)をかぶせる。経木版の温度は職人の勘に頼っている。木型や表のくせが、
表に響かないように厚紙を経木版と表の間に敷くが、その個所や厚さは木型によっても異なり
職人の経験がものを言う。
昔は厚紙の代わりに竹皮の堅い部分を巻いて使っていたそうだ。プレス機を使う前は万力が使われ
微妙な力の入れ加減が表の仕上がりに影響したという。
プレスが終わった表は、厚みをそろえるために裏すきをする。

6-4.目引き
雪駄表の「お化粧」といわれる。熱した「こて」で表面に化粧用の筋を引く。
つま先と踵部分には独特のカーブが描かれる。熟練した職人はいとも簡単に目引き作業をこなす。
しかし、その描くカーブは表の仕上がりによって微妙に異なる。「お化粧」といわれるとおり、一枚一枚雪駄の顔が違うからであろう。
目引きをした表は、顔が引き締まるというか、いかにも上等品であるという風格がでる。


豆知識:大人用一足を編むのに、竹皮は約350本使われる。
雪駄の表はすべて手作業である。竹皮を草履状に編む作業は昔から女性の仕事(家内職)
であった、竹皮表は藁草履に比べて編む手間がかかり、ベテランの編み子さんでも
一日に2~3足がやっとだという。今は編み子さんの高齢化が進んでいるという。
編み子の「手がいい」(芯縄の間隔や編み目がそろうベテランの技術のこと)と仕上がりもいい。
表は編み子によっては「目がわらう」ことがある。波を打つような仕上がりにしかならないことを言う。
このような表は商品にするのに「手間ばかりがかかってよくならない」という。

表がだんだん仕上がってくると、自分が思っている「艶」「しなり」がでているかどうか
心配になる。気候はもちろんのこと、気温、湿気などの関係で、自分が思った「艶」や「しなり」
がなかなか出てこないことがあるそうだ。

頭を悩ますのは、仕上げた一枚ずつの表を左右そろえて一足にすることだ。
雪駄表は一枚一枚つくられる。二枚として同じ表はないという。その中から一足の対をつくるのだ。さらに左右のバランスを考えて
「目引き」をし、一足の高級雪駄の表を仕上げるのである。

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雪駄塾 塾長

Author:雪駄塾 塾長
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